リスト 販売を楽しむ
Web2.0では、必ずしもOSとの関係やソフトウェアの機能を最重要視することが正しいとは言えない。
例えば、レビューやソーシャルブックマークサービスのように、ある一定以上のユーザーデータがなければ存在価値を失いかねないサービスは、ちょっとした機能の良し悪し以前に、まずたくさんの人に使ってもらうことが重要である。
つまり、一見高機能ではあるが少数の人にしか使われないアプリケーションと、それほど高機能ではないが多くのユーザーに使われるアプリケーションでは、Web2.0の世界では後者のほうに進化の可能性があるということだ。
その結果、AJAX(AsynchronousJavaScript+XML)に代表されるシンプルでユーザーの使い勝手がよい開発方法論や、ユーザビリテイの向上、難しいマニュアルがなくとも直感的に使える操作性とインターフェース設計が、優れたサービスを生み出すうえでの鍵となる。
【API】AppIicationProgramlnterfaceの略。
あるプラットフォーム向けの命令や関数の集合のこと。
【ソーシャルブックマークサービス】加えたもの。
Web2.0の事業モデルでは、コンテンツもしくはデータの作成はユーザーにゆだねられ、サービスの多くがコンピュータ処理されるため、小さな組織とさほど多くないコンピュータ資産があれば、事業をコスト効率よく展開することができる。
そして、コスト効率の良さは、サービスを広く普及させる可能性をも与えてくれる。
この種の事業モデルでは、ライセンス課金や使った分だけユーザーに課金するサービス課金のモデルではなく、広告収入を軸に事業が成り立つ場合が多い。
コンピュータの力を借り、こまやかな広告提供を行っていくことで、これまでマス媒体では割に合わなかったようなニッチな広告サービスを提供することができる。
この市場は旧来の大企業が参入してきていない新しい市場であり、うまくリーチすれば巨大なマーケットとなる可能性を秘めている。
典型的な成功例は、検索サービス大手のGであろう。
非常に精度が高い検索サービスに広告を連動して提供することで、検索の利用者は費用を払うことなくサービスを使うことができている。
ちなみに、ここで起こっている現象は、従来のマーケティングの常識をくつがえす要素が含まれている。
これまでは、「結果の8割は、主要な2割に原因する」というパレートの法則がマーケティングの定石とされ、企業は一部の売れ筋の商品を集中的に販売するというアプローチをとってきた。
しかし、インターネットの世界では、まったく逆のことが起こっている。
すなわち、一部の売れ筋よりも、「蛇のように長く伸びた尻尾の部分」から効率よく収益を上げるモデルが発見されたことで、尻尾の部分が大きな意味を持ち始めており、「ロングテール」と呼ばれるに至っている。
背景に、情報管理のデジタル化があるのは言うまでもない。
デジタル化により商品や顧客管理のコストを大幅に低減できただけでなく、これまでユーザー自身が探しきれずにいた商品を顧客ごとに「お勧め」として情報をカスタマイズして提示し、新しい商機をつかむことができたのだ。
とくに、いまや世界最大の書店となったAは、このロングテールの申し子と言ってもいい。
また、デジタルコンテンツを扱う場合は、倉庫や物流のコストが小さいため、管理コストはさらに下がり、事業効率はいっそう高まる。
著作権などのクリアしなければならない問題はあるものの、音楽配信や映像配信はこうした理由でパラダイムシフトを起こす産業の候補として注目を集めている。
究極的なモデルは、ある情報がどこにあるかを認識し、適切なタイミングで情報の所在をユーザーに届けてマッチングする形だろう。
つまり、自身ではコンテンツを持たずに、需要と供給の管理およびマッチングに特化したモデルである。
Aの230万冊の書籍売上のうち57%をいわゆる「売れ筋以外」の商品が占めている。
Web2.0の本質は、突き詰めるとデータにある。
それもどうでもいいデータではなく、ユーザーの手で生み出された利用価値の高いデータである。データを囲い込み、ユーザーや周辺の関連サービスに、使いやすい形で提供していく。
ユーザーとの関係がよければ、サービスの利用は進み、データはさらに蓄積される。
そして、蓄積されたデータに合わせて適切なツールを提供すれば、ユーザーは新たなサービスを利用することができ、サービス全体の価値はさらに高まっていく。
ユーザーコミュニティと中心にあるデータをつなぐサービスの設計がどうなっているのか−流行の開発技術や次々と現れる新種の事業モデルに惑わされることなく、この視点で整理すると、Web2.0の姿はわりとシンプルに捉えることができる。
個別の部分を考えるのは、その後でも遅くない。
RSSがWeb20で果たす役割RSSは、これまで説明したデータやサービス、ユーザー、そして周辺サービスの利用のいずれにも関わっている。
自分は誰かを説明する際に、名前だけを言うよりも、性別、年齢、所属、趣味、出身などの関連情報もあわせて伝えたほうが聞いている側はイメージしやすい。
同じく、コアデータを蓄積する際にも、データについて説明したデータ、すなわち属性となるメタデータをセットにして蓄えたもののほうが一般的にデータの価値は高い。
この属性データがウェブ上に蓄積される際、しばしばXMLという規格によって整理される。
また、配信の際にはXMLの一桃であるRSSがよく用いられる。
XMLで適切に整理されたデータはコンピュータ処理に適しているため自動化を進めやすく、サービス提供のコストダウンにもつながる。
こうした特徴を生かして、ユーザーが蓄積されたデータを利用する際に、データベースを探すことに加えて、RSSなどのXMLで整理されたファイルデータをサーチすることも一般化しつつある。
これまでテキスト情報の解釈については、人間が書いた言葉を分析して理解しようと試みていたが、この方法では言葉をどう解釈するかという意味の世界に踏み込んでしまうため、技術的なハードルが高い。
【XML】eXtensibleMarkupLanguageの略。
文書やデータの意味や構造を記述するためのマークアップ言語のひとつ。
それよりも、属性をヒントにしたほうが、少なくとも現状では、はるかに高い精度で情報を把握することができる。
テキストデータだけでなく音楽データや映像データも、見つけてもらえなければ価値を発揮できずに埋もれてしまう。
しかし、メタデータを付与して管理することで、データの潜在的価値を高めることができるのである。
データを中心にサービスと人が編み上げられていくWeb2.0の世界においては、RSSは血液のような役割を担っていると言っていい。
標準的な規格ではなぜ、それほど有用な役割を果たすRSSが、早くから普及してこなかったのだろうか。
ひとつの原因は、やはり適切な環境がなかったことである。
RSSのデータをそのまま表示するとわかるが、プログラム言語そのままのような表記となっていて、機械にとっては理解しやすい。
しかし、裏を返せば、人間が日常的に手で書くようなものではないし、当然読むにもひと苦労する。
つまり、技術者ならともかく、一般のユーザーにとっては、何らかのツールが普及しないかぎり、使いこなすことができない代物だ。
さて、どうにかならないものか。
そんな折、普及したのがブログだった。
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